2020年3月24日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)への配慮から、2020年東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定しました。
約1年後に開催予定とのことですが、具体的な日程は未だに決定していません。
また、オリンピックは最初の1896年の開催から現在に至るまで、一度も延期されたことがないのです。
そのため「2020年東京オリンピック・パラリンピックが延期されることで、どういった影響が出るのだろうか」が気になる方も多いでしょう。
このページでは、オリンピックの延期により受ける具体的な経済損失額、延期によって損失を受けた人の話を紹介していきます。
また、オリンピックが延期になることで、一般層にどういった影響が出るかも解説するので、そちらも参考にしてください。
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オリンピックの延期でいくらの損失がでるか
「中止ならともかく、延期の場合は開催時期が変わるだけだから大きな経済損失は生まれない」と考える人もいるでしょう。
結論から言うと、その考えは間違っています。
なぜならば、今回の延期決定は開会予定日の約4ヶ月前に発表され、多くの国や自治体は2020年のオリンピックの準備を既に終わらせていました。
チケットなどは来年にそのまま移行できますが、観客が泊まるホテルや警備などは再調整の必要があります。
そのため、延期であっても経済損失の額は少なくありません。
次の項からは、具体的な経済損失額について解説していきます。
予定通り開催すれば32兆円の経済効果があった
まず、予定通り2020年7月24日から東京オリンピックが開催された場合は、どれくらいの経済損失効果があったのでしょうか。
結論から言うと、およそ32兆円以上の経済効果があったと言われています。
オリンピックの開催は例えば以下に挙げられる経済効果をもたらします。
- テレビによる中継のスポンサー収入
- 入場料や記念グッズによる収入
- 企業の広告活動
- 諸施設のバリアフリー化や耐震化
- ホテルや商業施設の活性化
- 訪日外国人の増加
他にも、オリンピックの開催による交通インフラの整備・報道関連システムの向上なども期待されていました。
延期の場合は6400億円の経済損失!
では、今回の様にオリンピックが延期されるとどれほどの経済損失が生まれるのでしょうか。
結論から言うと、約6400億円の経済損失が生まれると言われています。
オリンピックが延期されると、例えば以下のような影響があります。
- 警備やボランティアの再配置
- ポスターやのぼりの撤去と再設置
- 選手村の跡地利用の遅れ
他にも選手村に設置する家具の調整が必要になるなど、オリンピック延期の影響は大きいと言えます。
オリンピック延期で損失を受けた人の話
この項では、オリンピックの延期で損失を受けた人の話を紹介します。
今回紹介する方は以下の通りです。
- 警備派遣会社の取締役
- ボランティアの派遣担当者
- 開催地近くのホテルの支配人
- 選手村の作業員
詳しくは次項から見ていきましょう。
警備派遣会社の話
それでも1週間前に、数千人規模の派遣計画書が完成したんですけどね…。
警備員の方も、1年後どうなってるなんて分からないですよ。
発表がギリギリになるのも仕方がないですけど、それでもガックリくるのはありますね。
制服だとか、備品とか研修も全て組み直さないといけないので大変です。
オリンピック自体は行われるのが、不幸中の幸いですかね。
ボランティアの派遣担当の話
いつでもオリンピックのボランティアに参加します!という方なら、そんなに影響はないんでしょうけど、ほとんどの人は2020年夏に開催することを前提にしてました。
延期の決定から数日経ちましたけれど、問合せやらクレームやらの電話がずっと鳴りっぱなしですね。
当分はその対応に人件費を割かないといけませんし、リクルーターとも交渉する必要があります。
来年は受験や就職を控えているボランティアの方のことを考えると、残念でなりません。
ホテルの支配人の話
オリンピックの延期が決まった時は、冗談じゃないと思いましたね。
もちろん、理由が理由ですし誰を責められるものではありませんが、経営が非常に難しくなったのは間違いありません。
ほぼほぼ全室、オリンピックを観に行かれるお客様で部屋が埋まっていたので、今は従業員総出で対応にあたっています。
ここまでの規模になると、キャンセル料はどうするのか・返金をするのか・来年もそのまま利用できるのかなどは自分の一存では決められないので、経営者と話しながら方針を練っている段階です。
一刻も早く方針を決めて、お客様にお伝えしたいと考えています。
選手村の建設現場の話
今回の延期で一番影響を受けるのは選手な訳ですけれど、延期後と延期前で選手の数が変われば、それに合わせて選手村を調整する必要があります。
調整が必要になれば、資材や工数も変わってくる訳で、費用はかさむでしょうね。
それに、選手村で使われる家具の生産も今はストップしてると聞きました。
メーカー、流通、現場と三位一体で2020年の夏に向けて進めていたので「これからどうなるんだろう」という不安が強いです。
延期になったのは仕方ありませんが、いつ開催されるのか・何人選手が来るのかなどを早く決めて欲しいです。
オリンピック延期で一般層にはどんな影響があるか
オリンピックの延期によって、一般層には以下などの影響が考えられます。
- ホテルから返金されない可能性
- 応援している選手が見られなくなる可能性
- 選手村跡地のマンション購入が遅れる
- 今後のイベントの参加が難しくなる
詳しくは次項から見ていきましょう。
ホテルなどから返金されない可能性がある
「オリンピックが延期になったのだから、当然ホテルから返金されるはず」と考えている方もいるでしょう。
しかし、ホテルによっては返金されない可能性があります。
なぜならば、今回のオリンピックの延期理由はコロナウイルスによるものであり、ホテル側の責任ではないためです。
オリンピック観戦とセットになっている宿泊パッケージならば、返金される可能性は高いですが、オリンピックと関係のない宿泊プランの場合はキャンセル料を取られてもおかしくありません。
最終的には各ホテルの判断によりますが、返金されない可能性があることを覚えておきましょう。
応援している選手が見られなくなる可能性がある
また、今回の延期によって応援している選手が観られなくなる可能性があります。
理由としては以下などが挙げられます。
- 来年の調整が上手くいかない
- オリンピックの出場権が白紙になる可能性がある
2020年の夏に向けて調整をしていたのは選手も同じです。
もちろん「自分のパフォーマンスを向上させる期間が増えた!」と考える選手もいます。
しかし一方で体力などの諸事情で「今年で最後にしよう」と考えていた選手もいるでしょう。
また、オリンピックに出る為には、選抜を潜り抜ける必要があり、競技によっては年齢制限が課されている場合があります。
そのため、延期によってオリンピックに出られなくなる選手も出てくる可能性があります。
選手村跡地マンションの入居が遅れる
選手村の跡地利用に関しても延期の影響があります。
選手村はオリンピック後、一般向けのマンションとして利用されます。
既にマンションの購入受付は始まっており、7~8割は入居者が決まっているとのことです。
しかし、オリンピックが延期になれば、当然入居時期も後に伸びることになります。
そのため、選手村跡地のマンションを利用する方にとっては、オリンピック延期は大きな影響を及ぼすと言えるでしょう。
イベントの参加が難しくなる
また、今回オリンピックの会場として利用される以下などの施設は既に、2021年の予定が組まれていました。
- 東京国際フォーラム
- 幕張メッセ
- さいたまスーパーアリーナ
- 日本武道館
そのため、オリンピックの延期により2021年や2022年のイベントに関しても影響が出るでしょう。
場合によっては、中止や延期になる可能性があります。
今後の情報をこまめにチェックしよう!
ここまで、オリンピックの延期でいくらの経済損失がでるか・延期で損失を受けた人の話・一般層にはどういった影響があるかを見てきました。
このページの内容をまとめると以下の通りになります。
- オリンピックの延期によって約6400億円の経済損失が生まれる
- オリンピックの延期により、警備会社・ボランティア担当・会場近隣のホテルなどには大きな損失が生まれた
- 一般層には、オリンピックの延期により、ホテルからの返金・選手村のマンション購入・来年のイベント開催などに影響がある
オリンピック延期の理由であるコロナウイルスは、いまだに収まる気配がなく、日毎に状況が変化しています。
そのため、今後の情報をこまめにチェックすることが重要だと言えるでしょう。