新型コロナウイルスは雇用にも大きな影響を及ぼしています。
特に、観光業や宿泊業への影響は大きく、2~4月にかけておよそ1000人あまりが職を追われたというデータもあります。
解雇や雇い止めまでいかなくとも、自宅待機などを命じられ収入が低下した方は多いでしょう。
収入が低下している時に、国民年金の保険料として月に1万6000円以上を払うのは難しいですよね。
そういった方は、国民年金保険料の免除・猶予制度を利用することをおすすめします。
このページでは、免除や猶予制度を利用するメリットや、免除や猶予制度を申請する流れ・利用する際の注意点について解説していきます。
また、新型コロナウイルスの影響で収入が減り、免除・猶予制度を利用した方の口コミも紹介するので、そちらも参考にしてください。
年金は未納するとどうなる?未納するデメリットと差押の流れを完全解説!
コロナで年金が払えない時は免除・猶予制度を利用しよう!
「保険料を払うお金がないのならば、納付せずに無視すればよい」と考える方も多いでしょう。
事実、国民年金の納付率は60%程度であり、10人に4人は保険料を払っていないのが現状です。
昨今の少子高齢化から「保険料を払っても年金は貰えないのではないか」と思う人もいるでしょう。
しかし、国民年金の保険料を納めないと以下に挙げるようなデメリットが発生します。
- 老齢年金が受け取れなくなる
- 事故などで怪我をした場合や、病気になった際に保証が受けられない
- 自身が死亡した際に家族が保証を受けられない
- 財産の差し押さえを受ける可能性がある
保険料を納めないと老後に年金が貰えないのは当然ですが、そもそも20歳~60歳であれば保険料の納付は義務であり、払わない選択をできるものではありません。
そのため、未納が続けば財産の差し押さえがおこなわれることもあります。
保険料を払わないとどうなるか、が気になる方は以下のページを参考にしてください。
差し押さえの流れや、対象者などについて、詳しく解説してあります。
年金は未納するとどうなる?未納するデメリットと差押の流れを完全解説!
免除・猶予制度を利用するメリット
また保険料を未納せずに、免除・猶予制度を利用するメリットとしては、以下が挙げられます。
- 保険料を満額払っていない期間も受給資格期間へ加算される
- 保険料を満額払わなくても一部の年金が貰える
詳しくは次から見ていきましょう。
制度利用中でも受給資格期間へ加算される!
国民年金を受け取るためには、10年以上保険料を納付する必要があります。
つまり未納している期間が続けば、年金が全く受け取れなくなる可能性もあるのです。
しかし、免除・猶予制度の期間中は、満額の保険料を払っていなくても受給資格期間へ加算されます。
つまり、10年間免除や猶予制度を利用すれば、それだけで一定の年金を受け取ることができます。
コロナウイルスの影響で保険料が払えない方は、少しでも年金を受け取るためにも、免除・猶予制度を利用しましょう!
保険料を払わなくても一部年金が貰える!
また、免除・猶予制度を利用すると、納付する保険料を抑えつつ老齢年金などを貰うことができます。
以下に免除・猶予制度を利用した際に貰える年金受給額をまとめました。
免除・猶予制度 | 内容 |
---|---|
全額免除 | 免除期間中は満額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1) |
4分の3免除 | 免除期間中は満額の8分の5(平成21年3月分までは2分の1) |
半額免除 | 免除期間中は満額の8分の6(平成21年3月分までは3分の2) |
4分の1免除 | 免除期間中は満額の8分の7(平成21年3月分までは5/6) |
納付猶予 | 猶予期間中の分は年金が貰えない |
また、免除・納付猶予制度を利用すると、障害基礎年金や遺族基礎年金を貰うことができます。
国民年金は、老後の生活保障だけではなく、何かあった際の保証にもなります。
トラブルに備える意味でも、国民年金の免除・猶予制度を利用しましょう!
コロナで免除・猶予制度を申請する流れ
免除・猶予制度を利用するためには、所得が一定額を下回っている必要があります。
しかし、コロナウイルスの影響で失業した方は、所得に関わらず保険料の免除・猶予制度を利用できる可能性があります。
免除・猶予制度を利用する際の流れは以下の通りです。
- 日本年金機構のホームページから、申請書をダウンロード
- 印刷して必要事項を記入
- 申請書と共に必要書類を添付して、住民登録をしている市(区)役所・町村役場へ申請する
添付する必要がある書類は以下の通りです。
- 年金手帳または基礎年金番号通知書の写し
- 前年(または前々年)度の所得を証明する書類
- 所得の申立書(所得についての税の申告を行っていない場合)
- 雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し(雇用保険の被保険者であった方が失業等による申請を行う場合)
コロナで免除・猶予制度を利用する際の注意点
また免除・猶予制度を利用する際は、以下の点などに注意が必要です。
- 任意加入をしている方は猶予・免除制度は利用できない
- 特別障害給付を受けている場合も、猶予・免除制度は利用できる
- 申請書・配偶者・世帯主が確定申告や年末調整をしていない場合は、制度の申請前に税務申告をする必要がある
- 申請時の住所と申請する年度の住所が違う場合は、申請書の「(8)特記事項」欄に記載する必要がある
- 事故や病気の発生後に申請をしても、障害基礎年金の受給資格要件には算入されない
- 申請は原則として毎年度必要になる
そのほかの点は、日本年金機構のホームページなどを参考にしましょう。
コロナで免除・猶予制度を利用した人の口コミ
ここからは、コロナウイルスの影響で収入が大きく減った方が、猶予・免除制度を利用した話を紹介していきます。
猶予免除制度には、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予の5種類がありますが、利用する制度を自由に選べる訳ではありません。
提出された書類などから個別的に審査がおこなわれ、機関が利用する制度を決定します。
そのため、このページで紹介する話と似たような状況でも、同じ制度を利用できる訳ではないという点には注意が必要です。
元ホテルマンが半額免除を受けた話
年齢 | 37 |
---|---|
男性 | 男性 |
職業 | 求職中 |
それが、コロナの影響で僕を含めた従業員の40%が辞めざるを得ませんでした。
仕事を辞めた後に、国民年金の納付書が届いた時は破り捨ててやろうかと思いましたよ。
ただ、ハローワークの人に相談してみたら「コロナで退職された方は、保険料が免除されるかもしれませんよ!」と言われまして。
郵送で申請をしたら、半額の免除を受けられるようになりました。
1万6000円が8000円ちょっとになるのは、やはり助かります。
これでなんとか次の就職先を探せそうです。
ただ免除期間が長くなればなるほど、貰える年金は減るとのことなので、早く働いて満額を払っていきたいですね。
10年以内なら、追納をして免除期間を失くせるらしいので、とりあえず免除や猶予制度を利用するのも良いと思います。
派遣社員が猶予制度を利用した話
年齢 | 42 |
---|---|
性別 | 女性 |
職業 | 派遣社員 |
都内で派遣社員のスタッフとして働いています。主に飲食店で働いていたのですが、コロナウイルスの影響で派遣先の殆どが営業を中止しました。
正社員と違って派遣社員は保証がないので、働けないと一銭もお金が手に入らないんです。
今は在宅のちょっとしたバイトをしていますが、収入は半分程度まで落ち込みました。
とても保険料なんて払える状況ではなかったのですが、夫の勧めで国民年金の猶予・免除制度を申請することにしました。
本当は全額免除を期待していたのですが、審査の結果は納付猶予でした。
収入が少しでもあれば猶予や半額免除になる可能性が高いと後で聞きました。
保険料を未納していると、病気や怪我をした時に保証を受けられませんからね。
猶予制度を利用すると、年金受給額は減ってしまいますが、保証を受けられるのはやはりありがたいです。
事業者も構成年金の猶予を利用できる!
また、コロナウイルスの影響で従業員の厚生年金を払えない事業者の方もいるでしょう。
そういった場合は、管轄の年金事務所に申し出ることで、以下などの対応を受けられる可能性があります。
- 各月の納付予定額の変更
- 分割納付期限の延長
- 分割納付額の変更
- 計画期間の延長
ただし、以上の制度を利用する際は、以下の点に注意が必要です。
- 分割納付期限の延長は翌年度末まで
- 計画期間の延長は最大30年まで
- 分割納付額の変更と計画期間の延長は、審査が必要
従業員の生活を守るためにも、事業者の方は厚生年金の猶予制度を積極的に活用しましょう!
郵送で免除・猶予制度を申請しよう!
ここまで、コロナで保険料が払えない場合は猶予や免除制度が利用できること・保険料の免除や猶予制度を利用するメリット・制度を利用する流れ・注意点・口コミなどを紹介してきました。
このページの内容をまとめると、以下の通りになります。
- コロナで収入が大きく減った場合は、保険料の免除・猶予制度を利用しよう!
- 免除・猶予期間中でも、受給資格期間へ加算される!
- 免除や猶予制度を利用しても、年金の一部は受け取れる!
- 免除や猶予制度は申請する際は、任意加入や税務申告の有無に注意しよう!
- 厚生年金の支払が難しい事業者でも、支払の猶予は受けられる!
また、免除・猶予制度の申請は郵送でも受け付けています。
コロナウイルスの感染予防のためにも、窓口ではなく郵送で免除・猶予制度を申請しましょう!