年金は未納するとどうなる?未納するデメリットと差押の流れを完全解説!

年金は未納するとどうなる?

2020年から、年金の保険料は130円増加し月々1万6540円になります。

20歳以上の方は年金の保険料を納付する義務がありますが、大学生や新社会人にとって1万6000円は安くないですよね。

しかし保険料を未納していると、老後などに貰える年金が減るだけではなく、車や給料などを差し押さえられる可能性があります。

このページでは、保険料を未納するとどうなるのかを解説していきます。

また、保険料の免除や猶予制度についても解説するので、所得額が理由で年金が払えない方はそちらも参考にしてください。

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年金の保険料を未納するとお金が受け取れない

まず、保険料を未納していると、以下に挙げられる年金を受け取ることができなくなります。

  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金

詳しくは次項から見ていきましょう。

老齢年金の受給には10年の納付が必要!

老齢年金とは、65歳以上の方が受け取ることができる年金のことです。

しかし、保険料の納付年数が10年未満の場合は1円も受け取ることができません。

老齢年金の平均的な受給額は、国民年金と厚生年金を合わせて月々15万円程度と言われています。

老後の生活のためにも、保険料は納めておいた方が良いでしょう。

障害年金や遺族年金も受け取れない!

障害年金とは、ケガや病気などが原因で障害認定を受けた際に、受給できる年金のことです。

遺族年金とは、自分が死亡した際に家族へ支払われる年金のことです。

事故によるケガや病気、死亡は予想できるものではありません。

何かあった際の保険としても、年金の保険料は納付しておきましょう。

未納が続くと差押を受ける

保険料を納めないと、年金を受け取ることができないことは前に説明した通りです。

しかし、そもそも保険料の納付は国民の義務であり、未納を続けると財産の差し押さえを受ける可能性があります。

以下の条件に該当していると、差し押さえの対象になります。

  • 年間の所得が300万円以上ある
  • 未納期間が7ヶ月を超えている

差し押さえは以下の流れでおこなわれます。

  1. 納付督励が行われる
  2. 特別催告状が届く
  3. 最終催告状が届く
  4. 督促状が届く
  5. 財産調査と差押の予告が行われる
  6. 差押が行われる

詳しくは次から見ていきましょう。

①納付督励がおこなわれる

まず、年金の保険料が納付されないと年金事務所から以下などの方法で催告がおこなわれます。

  • 電話
  • 戸別訪問
  • 催告状の郵送

この時点では、納付忘れや口座の残高不足の人が多く「保険料が未納になっています」などとお知らせする程度にとどまります。

②特別催告状が届く

納付督励の段階による催告でも、保険料の納付がない場合は、年金事務所から特別催告状が届きます。

特別催告状は以下の段階で3通送られてきます。

  1. 青(水色)の催告状
  2. 黄色の催告状
  3. 赤(ピンク)の催告状

特別催告状には、経済的理由で保険料を納付できない場合の手続方法や、催告を無視し続けた場合には差し押さえの実行ももあり得る旨が記載されています。

③最終催告状が届く

赤(ピンク)の特別催告状でも保険料の納付が行われない場合は、納付書と共に最終催告状が届きます。

最終催告書には「納付が行われない場合は差し押さえを行う」と記載されており、ペナルティなしで済むのはこの段階までです。

どんなに納付が遅れても、この段階までに保険料の納付をしておきましょう。

④督促状が届く

最終催告状が届いても、納付がない場合は督促状が届きます。

督促状は、催告状と違い法的拘束力を持っています。

そのため、督促状が届いた時点で、以下のペナルティが発生します。

  • 時効の中断
  • 延滞金の発生

保険料を徴収する権利は、通常2年で消滅しますが、この督促状が届けば時効は中断され債務として残り続けます。

また、督促状が届くと保険料の延滞金が発生し、最大14.6%まで保険料が増加します。

⑤財産調査と差押の予告が行われる

督促状の期限を超えて納付がない場合は、差し押さえるために、滞納者の財産調査が行われます。

預金残高や取引先の売掛金まで調べられるため、この段階に至ると周りにも保険料の滞納はバレてしまうでしょう。

また、財産調査が行われると、利用しているクレジットカード会社から強制解約や利用停止の処分を受けることがあります。

カードの強制解約や利用停止は金融事故として信用情報機関に登録されるため、以下などが難しくなります。

  • 新規のカードローンの借入
  • 新規のクレジットカードの発行
  • カードローンの増額
  • 公的融資制度の利用

⑥差押が行われる

差し押さえの調査が完了した段階で、保険料の納付がない場合は差し押さえが執行されます。

差し押さえの対象は以下の通りです。

  • 預貯金
  • 土地
  • 自家用車
  • 株式などの資産
  • 家財
  • 売掛金

生活が困難になるほどの取り立てを受けることはありませんが、近頃は差し押さえの対象範囲も広がっていいます。

また、差し押さえられた資産は速やかにオークションなどで金銭化されるため、取り戻すのも難しいでしょう。

納付指導に従わない場合、年金事務所から委任された国税庁の職員が徴収に来る可能性があります。

年金が払えない場合は免除・猶予制度を利用しよう!

経済的理由で保険料が納付できない場合は、以下の免除・猶予制度の利用を検討しましょう。

  • 保険料免除制度
  • 保険料納付猶予制度
  • 学生納付特例制度
  • 配偶者からの暴力による特例免除制度

利用条件などは次から見ていきましょう。

保険料免除制度

保険料免除制度とは、前年度の所得が一定以下である、失業して保険料の納付が難しい場合などに利用できる制度のことです。

所得額によっては、以下の免除を受けることができます。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

全額免除になる年収の目安は(扶養親族の数+1)×35万円+22万円です。

例えば妻一人と子供一人を扶養している場合は、年収が127万円以下であれば、全額の免除を受けることができます。

また、免除の場合は保険料を支払っている扱いになるため、将来的に年金受給額が減る心配はありません。

まずは、自身の年収を把握して免除の申請を行うと良いでしょう。

保険料納付猶予制度

また、本人と配偶者の前年所得が一定額以下の場合は、納付猶予制度を利用することができます。

納付猶予制度は期間中は受給資格期間へカウントされますが、保険料の納付を一時ストップしているだけであるため、保険料を支払っている扱いになりません。

そのため、納付猶予制度を利用している期間が長くなればなるほど、年金受給額は低くなります。

収入が安定した段階で、猶予期間の追納を行うことをおすすめします。

ただし、猶予期間の追納を行う際は、以下の点に注意が必要です。

  • 10年以上前の猶予期間の追納はできない
  • 2年以上前の猶予期間の追納には、別途費用がかかる

学生納付特例制度

また、学生の場合は保険料免除・納付猶予制度は利用できないため、学生納付特例制度を利用しましょう。

学生納付特例制度を利用できる方は以下の通りです。

  • 大学生
  • 大学院生
  • 短期大学生
  • 高校生
  • 専門学校生
  • 特別支援学校生
  • 専修学校生

また、夜間や定時生の学校も該当するため、ほぼ全ての学生が納付特例制度を利用することができます。

学生納付特例制度の内容は、納付猶予制度とほぼ同じです。

受給資格期間にカウントはされますが、年金額への反映はありません。

学生の方は手続を面倒がらずに、納付特例制度を利用しましょう!

配偶者からの暴力による特例免除制度

また、配偶者からの暴力(DV)により、配偶者と別居している場合は配偶者の所得に関わらず保険料の免除や納付猶予を受けることができます。

計算式は保険料免除制度と変わりません。

また窓口では、配偶者に申請した情報がいかないようにするなどの、プライバシー保護の相談をすることもできます。

DVが原因で、保険料の納付が難しい方は、近くの年金事務所で特例免除制度の相談にいきましょう!

【結論】年金は払った方が良い!

このページでは、保険料を滞納するとどういったお金が受け取れないか・滞納による差し押さえの流れ・年金が払えない場合の免除や猶予制度の紹介をしてきました。

このページの内容をまとめると、以下の通りになります。

  • 年金の保険料を滞納すると、老齢年金・障害年金・遺族年金が貰えなくなる!
  • 保険料の未納が続くと、①催告状の送付②督促状の送付③執行の3段階で、財産が強制的に差し押さえされる
  • 差し押さえの対象者は年収が300万円以上であり、未納期間が7ヶ月を超えている人
  • 所得額が理由で年金の保険料が支払えない場合は、免除や猶予制度を利用しよう!
  • 免除を受けた場合は年金受給額に影響はないが、猶予を受けた場合は追納が必要!
  • 学生や配偶者からの暴力を受けている場合は、特別の猶予・免除制度を利用しよう!

昨今では「今の若者はどうせ年金を貰えないから、払うだけ損」といった考えで、年金の保険料を納付しない方が増えてきています。

確かに、今の少子高齢化が続けば年金制度自体の見直しは必要でしょう。

しかし、保険料の納付は義務であると共に、ケガや病気・事故に遭った際の保険にもなります。

また20歳から40歳まで保険料を払い、平均寿命まで年金を受給した場合、納付した額の1.5倍~2.3倍のお金を受け取ることができます。

さらに、受け取る年齢を遅らせたり、個人型確定拠出年金iDeCoを利用すればさらに受給額を増やすことができます。

猶予や免除などの制度など賢く利用しながら、将来のために年金の保険料を払いましょう!

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