消費者金融を利用すると住宅ローン審査に通らない?

消費者金融と住宅ローン

「消費者金融(サラ金)の利用経験があると、住宅ローン審査に通らない」

こんな話を耳にしたことはありませんか?

確かに住宅ローンでは、一般的な与信契約と比べていっそう厳しい審査が行われています。

しかし「消費者金融との取引履歴=住宅ローン契約を断られてしまう重大なマイナス要素」とは断言できません。

キャッシング利用経験者が住宅購入に臨むにあたり、以下の情報を知識として得ておくと安心です。

  • 消費者金融の利用経験が住宅ローン審査で不利になる理由
  • 消費者金融との取引状況で、審査への影響がどう変わるのか

以上と合わせて、キャッシング・カードローン利用に心当たりがあっても審査に通るコツを紹介します。

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「消費者金融の利用」が住宅ローン審査で不利になる理由

結論を述べると、消費者金融の利用経験が住宅ローン審査に多少の悪影響をもたらすことは否めません。しかし、返済実績さえ問題なければ、それほど心配する必要はないでしょう。

最初に、消費者金融の理由が審査上のマイナス要素となってしまう理由を2点挙げます。

不利になる理由1:多重債務のリスクがある

消費者金融が提供するカードローン・キャッシング契約は、さまざまな規模の融資契約を扱う金融機関からすると「少額融資」に該当します。

問題は「少額融資だから多重債務のリスクがある」という点です。

個人の年収は消費者金融での利用限度額をはるかに上回ることから、新規で同じようなキャッシング契約をすることに心理的抵抗がなくなり、どんどん債務を増やしてしまうケースが後をたたないのです。

不利になる理由2:まとまった資産がないと見なされる

住宅ローン審査担当者が危ぶむもう一点の理由は、消費者金融の利用にあたって担保提供の実績がない点です。

借入総額は数千万円・返済期間は10年~30年にも及ぶ住宅ローン契約では、返済中にアクシデントが起きて収入が減るかもしれません。

こんな時、あらかじめまとまった資産がないと、たちまち返済不能に陥ってしまうのでしょう。

消費者金融は担保なしで契約できることを強みとしていますが、この点がかえって「万一の収入減のときに返済に回せる資産がないのかもしれない」と住宅ローン審査担当者に不安を抱かせてしまうのです。

最も重視されるのは「返済実績」

利用先=消費者金融だったというだけで以上のような悪影響があるものの、金融機関が最も重視するのは「返済実績」です。

審査可否の最終的な判断材料=個人信用情報機関※に登録されているローン返済実績の全体と言っても、決して過言ではありません。

※個人信用情報機関とは
…消費者金融を含め、貸金業者または銀行でのローン取引状況(返済実績・契約年月日・限度額など)が記録されている機関です。記録の保存期間は5~10年にわたり、返済トラブル等の金融事故については5年以上の登録が原則とされています。

約束通りにきちんと返済し、消費者金融との間で特にトラブルが起きていないようなら、悪影響はごくわずかです。

反対に、返済トラブルが1回以上でも見られると、審査に落ちるリスクが一気に高まります。

これまでの解説を踏まえ、消費者金融との取引状況別に「住宅ローン審査への影響」について見ていきましょう。

【取引状況別】住宅ローン審査への影響度

消費者金融の利用経験が住宅ローン審査にどう影響を及ぼすかは、ローン申込時点での取引状況によって異なります。

消費者金融との取引状況 住宅ローン審査への影響
完済後に住宅ローン申込を行う 悪影響は小さい
返済中に住宅ローン申込を行う 悪影響は中~大
長期滞納や強制解約経験がある 悪影響大

住宅ローン審査結果をどう左右するのか、①~③の各状況をさらに詳しく解説します。

①完済後に住宅ローン申込を行う場合

完済後に住宅ローン申込を行う場合、審査への影響はほとんどありません。

前述の通り、最も重視されているのは返済実績そのものだからです。

注意:滞納経験があると住宅ローン審査への悪影響大

ただし、完済日から1~2年以内に滞納があった場合、住宅ローン審査の上で深刻なマイナス要素となります。

そもそも、消費者金融のカードローンは、年収内で余裕ある利用が出来るよう設計されています。

こうした設計にもかかわらず滞納していると、審査担当者から「家計管理が甘い」と見なされるのもやむを得ません。

返済実績を金融機関が照会できるのは、個人信用情報機関での一般的な保存期間である1~2年以内です。

もし滞納に心当たりがある場合、該当する月から2年以上は間をおいて住宅ローンに申し込むべきでしょう。

②返済中に住宅ローン申込を行う場合

一方で、消費者金融に借入残高がある状態(=返済中)に住宅ローン申込を行う場合、審査に無視できない悪影響があると言わざるを得ません。

その理由として、審査項目に含まれる「返済比率」「無担保ローン比率」という2点が挙げられます。

各項目が一定水準以下でないと「住宅ローンを契約することで月々の総返済額に無理が生じる」と判断されてしまい、審査に落ちてしまうのです。

返済比率とは

返済比率とは、年収に対するに年間返済額の割合を指します。

適正ラインは20~30%程度と考えられており、35%を超えると金融機関の審査に通ることは非常に難しいとされています。

年間返済額には、審査時点で借入残高のある全てのローンが含まれます。

【一例】返済比率に含まれるもの
担保あり 自動車ローン・家電ローン・その他フリーローンなど
担保なし 消費者金融やクレジットカードの利用残債

無担保ローン比率とは

無担保ローン比率とは、年収に対する「担保なしで契約しているローンの借入残高の合計」の比率を指します。

金融機関による審査通過の目安は、無担保ローン比率=年収の1/3以下とされています。

【一例】無担保ローン比率に含まれるもの

  • 消費者金融の利用限度額※
  • クレジットカードの利用限度額※
  • 美容ローン・プライダルローン
  • 割賦契約で購入したスマホの残債

※消費者金融・クレジットカードについては、借入残高ではなく「利用限度額」が無担保ローン比率算定のベースになることに注意しましょう。

後述で詳しく解説する通り、完済して利用しないものは解約しておくことをおすすめします。

③長期滞納や強制解約経験がある場合

消費者金融利用中に以下のような重大な返済トラブル(=金融事故)があった場合、すでに完済しているかどうかに関わらず、住宅ローンに通る可能性はほぼゼロです。

いわゆる「ブラックリスト」の状態にあてはまり、住宅ローンに限らずあらゆる与信審査に通過することができません。

【重大な金融事故の種類】

  • 61日以上の長期滞納
  • 強制解約
  • 代位弁済※
  • 債務整理(任意整理・個人再生・自己破産など)

※代位弁済とは…消費者金融が「契約者から債権回収できる見込みが低い」と判断した際に行われる、保証会社による借入残高の立替です。通常、滞納開始から3ヵ月程度で行われ、直後に強制解約されます。

以上のような金融事故歴は、完済後5年(個人再生または自己破産なら最後の官報掲載から10年)のあいだ、個人信用情報機関に保存されています。

左記期間中は住宅ローン審査担当者がかならず事故歴を照会するため、住宅購入は極めて困難だと言わざるを得ません。

信用情報から事故歴が消える5~10年のあいだは家計見直しの時間とし、住宅ローン申込は先送りにすべきです。

消費者金融利用者が住宅ローン審査に通るコツ

「どうしても消費者金融の利用歴が気になる」「返済トラブルに心当たりがある」といった場合、いくつかのコツを押さえることで住宅ローンの契約に応じてもらえる可能性を引き上げられます。

消費者金融を完済してから申し込む

消費者金融の完済は、住宅ローン契約にあたって第一にクリアしたい条件です。

現在借入残高がある場合、ボーナスや貯金を活用した繰上返済・随時返済を心がけましょう。

審査通過の確実性を重視するなら、住宅ローンの頭金確保よりも優先すべき課題です。

完済後の解約も忘れずに

消費者金融での借入残高がゼロになっても、自動的に解約とはなりません。

利用限度額はそのまま残され、住宅ローンの審査基準のひとつである「無担保ローン比率」の算定に含まれてしまいます。

審査担当者から「返済にあたって十分な余裕がある」と評価してもらえるように、完済後使う予定のない消費者金融のカードローンは解約手続きをとっておきましょう。

ペアローン(夫婦連帯債務契約)を検討する

消費者金融の利用経験がマイナス要素となっても、返済の元手となる収入が十分あれば審査上有利になります。

そこで使えるのが、住宅ローンならではの利点である「ペアローン」(夫婦連帯債務契約)です。

配偶者を共同契約者として金融機関に申し込むことで、夫婦の収入を合算して審査してもらうことが出来るのです。

ペアローンにはリスクもある

ただし、債務整理・離婚などのアクシデントの可能性を考えると、ペアローンのリスクは無視できません。

ペアローン契約後に夫婦の一方が債務整理することになった場合のリスク

夫婦の一方が債務整理をはじめると、住宅ローン全体が整理対象となってしまいます。

競売や担保実行により住宅を手放すことになり、さらに夫婦共同で破産者となる“共倒れ”のリスクが懸念されます。

住宅ローン返済中に離婚することになった場合のリスク

離婚にあたって持ち家も財産分与の対象となり、通常はローン完済後に売却代金を分割する方法をとります。

ペアローンにより購入した住宅であれば、夫婦がそれぞれの契約範囲内で残債解消できるだけの現金を負担しなければなりません。

その時になって夫婦のどちらかに資力がなく、住宅ローン完済ができないとなると「住むことも分割することもできない不動産とローンだけが残される」という不満の残る結果になるでしょう。

以上のことから、今後も長く共働きを続けてまとまった資産を形成できる見込みがない限り、ペアローンは慎重に検討したほうが良いと言えます。

フラット35の審査に申し込む

住宅ローンのなかでも審査が甘いとされるのが、住宅金融支援機構(行政機関のひとつ)が提供している「フラット35」です。

任意整理後の金融ブラックの状態でも審査通過の報告が上がっており、独特の審査で幅広い層へと融資を行っているのが特徴です。

審査の特徴①:審査基準が明確にされている

フラット35の第一の特徴は、審査基準が事前に明確にされている点です。

まだ消費者金融で返済中の人でも、下記条件に当てはまっていれば、十分に審査通過の望みがあります。

【フラット35の申込基準】
年齢 70歳未満(70歳以上でも親子リレー返済なら契約可)
返済負担率 年収400万円未満は30%以下・年収400万円以上は35%以下

審査の特徴②:収入の安定性は重視されない

フラット35の審査では、収入の安定性が重要視されていません。個人事業主・消費者金融の返済中で可処分所得が安定しない人でも、審査通過の実績が多数あります。

「すでに住宅ローン審査に落ちてしまった」という状況でも、二回目の申込先として検討することが出来るでしょう。

審査の特徴②:人より住宅重視の審査

フラット35は「購入者により適切に管理される不動産を増やすこと」を目的としたローンであるため、人の要件よりも住宅の要件のほうが重視されています。

多少信用力に不安があっても、物件の技術基準が求められる水準を上回っているほど、審査上有利に働きます。

【フラット35の住宅水準】

  •  省エネルギー性
  • バリアフリー性
  • 耐震性
  • 耐久性・可変性

→上記4項目で特に優れている物件には金利優遇あり(フラット35S)

結論:消費者金融でトラブルなく完済しているなら心配無用

消費者金融の利用が不利となる理由は「多重債務のリスク」「金融資産の少なさへの懸念」の2点です。しかし、いずれも影響はわずかでしょう。

住宅ローン審査を行う金融機関が最も気にかけているのは「きちんと返済できているか」という点だからです。

【消費者金融の利用経験がある人へのアドバイス】

  • 住宅ローン申込前に完済しておく
  • 消費者金融は完済後かならず解約しておく
  • 滞納歴がある場合、滞納解消から1~2年以上待って申し込む
  • 重大な金融事故歴がある場合、完済から5年以上待って申し込む

以上のポイントを押さえた上でさらに不安が残る場合、ペアローン契約での申込・フラット35の利用もおすすめできます。

ここぞというタイミングで住宅購入に踏み切れるよう、カードローンとの付き合い方を戦略的に見直してみましょう。

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