フリーローンの審査は年収の何%まで通る?借入に必要な最低年収は?

銀行フリーローンは証書貸付タイプの融資商品で、残債にかかわらず一定額を返済していくシステムが採用されています。

追加の借入ができない他、返済が苦しい月は利息だけ返すという特例も使えないので、カードローン以上に収入の安定度が求められます。

フリーローンを申し込む前にチェックしておきたい、年収の最低ラインや審査時のチェックポイントについて詳しく解説します。

フリーローンの審査基準を徹底比較!金利が高いほど審査に通りやすい

フリーローンの審査結果には年収が大きく影響する

他の融資商品と同様、フリーローンの審査で一番重要視されるのは年収額です。

人事院が公表する標準生計費と個人信用情報に登録された年間返済予定額の合計を年収から引いた額が、1年間のローン返済可能額と客観的に推定されます。

そのため、年収が高いほど返済に回せるお金が多い、すなわち高い融資額を設定しても問題ないと判断される可能性が増えるのです。

したがって、フリーローンの融資額決定にあたっては年収が大きく影響します。

年収が低いと融資額も低くなってしまう

フリーローンの申込みで家族人数や家賃支払い額の申告を求められる理由の一つとして、標準生計費を的確に把握する目的が考えられます。

人事院から公表されている平成30年4月現在の標準生計費は、次のとおりです。

世帯の人数 1人 2人 3人 4人 5人以上
家賃なし 83万円 118万円 168万円 217万円 266万円
家賃あり 140万円 181万円 224万円 267万円 310万円

家賃や住宅ローンの支払がある場合は、上記「家賃なし」の金額に年間の支払額を加算した額が標準生計費とみなされます。

したがって、年収が上記の額に近づくほど、あるいは支払家賃が多いほど家計の余裕資金が少ないと判断され、融資額が低くなるのが一般的です。

年収は最低でも200万円以上あるのが好ましい

2018年10月現在の東京都の最低賃金は985円ですが、2017年の平均総労働時間(1996時間)分を働くと、年収約199万6千円です。

最低賃金が762円と全国で一番低い秋田県・高知県の場合でも、同じ時間働けば年収150万円以上です。

また、先に説明した標準生計費は月々の家賃が約4~5万円の設定ですが、実際にはそれ以上の家賃を支払うケースが多くなっています。

例えば、東京都内での平均家賃は70,599円(全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」)です。

以上のことから、フリーローンの申込みでは年収200万円(月収16万7千円)以上あることが最低限求められます。

実際に、労働金庫(ろうきん)では年収150万円が、イオン銀行では年収200万円がそれぞれ申込みの目安として提示されています。

年収にはボーナスを含んでも良い?

年収証明書類の一つである源泉徴収票には、ボーナスを含んだ年収が記載されています。

また、多くのフリーローンではボーナス併用返済に対応していて、増額できうる返済額を考慮に入れて返済能力を判断し、融資額を設定するケースも考えられます。

したがって、ボーナスを含めた年収を申告するのが正しい申込み手続きです。

なお、勤務先の業績に応じてボーナスの額が変動する場合があるので、ボーナス月の返済を増やしすぎないよう気をつけましょう。

年収は額面+賞与で計算する

年収は、月給の額面(総支給額)と賞与(ボーナス)の合計です。

額面には、月ごとの変動が少ない基本給の他通勤交通費や各種手当の他、業務の実績により変動する歩合給も含まれます。

前年度の源泉徴収票に記載された金額を申告するのが一般的ですが、昇給などで総支給額に変更があった場合に、直近2~3か月分の給与明細書と過去1年分の賞与明細から最新の年収を割り出す場合もあります。

副業収入も合算して申告しても問題ありませんが、本業の収入だけで審査を行う金融機関もあるようです。

副業収入の安定性をアピールして融資額アップを目指すには、自治体が発行する所得証明書を2~3年分用意するのもコツです。

複数のフリーローンから借りている場合はどうする?

他の銀行や消費者金融等の借入残高(残債)や年間返済予定額は、個人信用情報を通じて最終的に把握されますが、申込時にも申告が必要です。

また、申込時に使い道を確認する書類(見積書など)が不要な場合でも、自分から使い道を知らせる分には問題ありません。

そのため、複数のフリーローンで借入がある場合には、過去の借金の理由や今回の申込動機を銀行に対して明確に説明できることが、審査通過の重要ポイントとなります

。債務の一本化(おまとめ)に対応するフリーローンでは、今回の融資を通じて月々の返済総額を減らせるとアピールするのもテクニックの一つです。

総借入額と年収のバランスを見て審査結果を判断

貸金業法では、1人あたり借入総額を年収の3分の1までとするルールが決められています。

例えば、年収200万円の人なら約67万円、年収500万円の人なら約150万円が、それぞれ融資上限です。

銀行フリーローンでは貸金業法が適用されませんが、過剰貸付を防ぐための判断材料として用いられています。

そのため、申込み時点の借入総額が年収の3分の1以内であることを前提に、年収に占める月々の返済総額(返済比率)を銀行側で把握した上で融資可否が判断されます。

銀行フリーローンも2017年から総量規制を開始?

2017年3月「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」が全国銀行協会から公表され、年収と借入額のバランスを意識することが、審査体制の整備点の一つとして求められています。

また、2017年9月から2018年3月にかけて、銀行カードローンの業務適正化を推進する目的で、金融庁による業務実態調査が実施されました。

この2点を受けて、2018年9月時点では約半数の銀行で、他社を含めた借入総額を年収の半分までとする自主規制が、カードローン・フリーローン共に実施されています。

また、おまとめローンを提供する銀行の約7割で、融資実行後に他社への返済状況のチェックが行われています。

自主規制に罰則はないものの、業務改善への取り組みの中で多重債務防止の徹底が求められているため、2017年以降は銀行フリーローンでも総量規制が事実上開始されたといえます。

総量規制とは?基本内容と例外ローンをわかりやすく解説

ほとんどの銀行で年収3分の1超の過剰貸付を制限

2018年9月に金融庁から公表された「銀行カードローンの実態調査結果」では、業務改善への取り組みが不十分な銀行に対して、他行の改善事例の共有や担当者間の対話を通じて改善を促すと明言されています。

業界全体として業務の質を高めていく流れもあり、2018年9月以降はほぼすべての銀行で年収の3分の1を超えてお金を借りることが難しいのが実態です。

ただし貸金業法では、高額医療費を支払うための無担保融資や不動産を担保にした融資では年収の3分の1を超える融資が例外的に認められているため、フリーローンでも同様の取扱いであると考えられます。

また、定期預金や住宅ローンなどの取引状況によっては、銀行側での信用度が高いと判断して年収の3分の1を超える貸付を行うケースもあるようです。

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年収3分の1以上の融資を希望したらどうなる?

年収の3分の1を超える融資を希望した場合でも、反社会的勢力でない限り申込みを断られることはありません。

ただし、50万円を超える融資を希望する場合は年収証明書類が必須となる他、借りたお金の使い道を証明する書類(見積書や返済計画表)を求められることもあります。

また、受付担当者から詳しい事情を聞かれるなど、厳しい審査が行われます。

その結果、希望どおりの金額を借りられない場合や、審査に落ちる場合があることには留意が必要です。

①審査に落ちる可能性が高い

「他社を含めた借入総額は年収の3分の1まで」とフリーローンの申込み条件に明記されている場合は、居住年数や勤続年数など他の属性が優れていたとしても、他の顧客との平等性を保つ観点から審査に通りません。

また、申込み条件で借入総額に触れられていない場合でも、保証会社の審査で融資上限額が決定する現状があることと、先に触れた融資総額の自主規制を遵守しながら銀行側の審査が行われるため、審査に落ちる可能性は高いです。

②審査に通っても融資額は下げられる

審査に通過したとしても、借入総額が多いほど月々の返済の負担が大きくなるため、希望額より融資額を引き下げられるケースが多いです。

特に、給与振込などの取引実績がない銀行でフリーローンを申し込む場合は、申し込んだ人の返済能力を証明する方法が年収証明書類と個人信用情報のチェックに限られます。

そのため、融資後半年~1年間の返済実績を確認してから追加融資の相談に応じるとして、初回の融資額が低めに設定されるケースもみられます。

年収が高くてもフリーローン審査に落ちるケース

借入総額が年収の3分の1以下で、なおかつ年収が高い人でも、申込み内容によってはフリーローンの審査に落ちる場合があります。

フリーローンを申し込む前に、次の5項目に該当しないかをチェックしておきましょう。

フリーローンの審査に落ちた!考えられる理由と対処法

過去に債務整理などの経験がある

個人信用情報では、過去5年以内の債務整理歴が登録されています。

過去の借金について残債がある状態で過払い金請求を行った場合は、任意整理扱いとして個人信用情報に登録される点にも留意が必要です。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)では官報掲載情報も収集していて、裁判所の決定が出てから最大10年間登録されています。

したがって、過去10年以内に自己破産・個人再生を行っている場合や、過去5年以内に任意整理・特定調停を行っている場合は、現時点で年収が高いとしても審査に落ちてしまいます。

毎月の収入が安定していない

年収が高くても毎月の収入にばらつきがある場合には、契約で決められた額を返済できない可能性があるとして審査上不利になることが考えられます。

例えば保険外交員の場合は、給与所得(固定給)と営業実績に応じた所得(歩合給)の合計が年収ですが、収入としての安定度が高い固定給を基準に審査が行われます。

パートやアルバイトで高年収を得ている場合も、ゴールデンウィークなど稼働日が少ない月は収入が少ないと判断されがちです。

したがって、高年収だからといって審査に通りやすいとは限らない点に留意が必要です。

クレカやスマホ代を延滞した経験がある

クレジットカードやスマホの代金を延滞したことがある場合も、審査に落ちることがあります。

個人信用情報には、過去5年分の長期(61日以上)延滞情報に加えて過去24か月分の支払状況も記録されていて、支払能力の判定に活用されているからです。

2回以上延滞歴が確認された場合は、契約どおりに返済できない可能性があると判断されて、審査に落ちる可能性が高くなります。

特に、スマホの機種代金は月々の通話料金と一緒に支払うシステムなので、通話料金を延滞すると同時に割賦代金も延滞する扱いとなるため要注意です。

在籍確認が取れなかった

フリーローンを申し込んだ後は、申込者本人の勤務実態を確認するため、銀行又は保証会社の担当者による電話連絡が行われます。

電話に出た人が「わかりません」「いません」と曖昧な応対をした場合は、「そもそも申込者が在籍していないかもしれない」と担当者に判断され、審査に落ちてしまう可能性が出てきます。

申込み後は、自分宛に在籍確認の電話が入ることを周囲に知らせておくことが、審査落ちのリスクを軽減する秘訣です。

社会保険証や源泉徴収票などの書類を在籍証明とできるかどうかを相談してみてもよいでしょう。

申込時に嘘の内容を記入したのがバレた

保証会社での審査(仮審査)に通過して、銀行での審査(本審査)を受けるために本人確認書類や年収証明書類を提出した後に、書類の記載内容から申込時の嘘がバレるケースがみられます。

事実に基づかない申告がバレた場合、銀行との信頼関係を構築できないと判断され、審査上不利に働くので要注意です。

【結論】フリーローン審査で通るのは年収3分の1まで!

2018年3月に金融庁による業務実態調査が終了して以降、ほとんどの銀行で融資総額に上限を設けるようになりました。

同時に、個人信用情報を通じた他社借入状況の調査や、年収証明書類などの客観的資料による年収確認が厳格に行われるようになり、多重債務を防ぐ体制が強化されています。

したがって、フリーローンでの融資上限額は年収の3分の1までです。

なお、無職や専業主婦など収入が少ない人でも、同居家族に安定収入があることを条件に融資を受けられる場合がありますが、限度額は低めに抑えられます。

3分の1超の融資を受けるより審査落ちしたほうが身のため?

2010年に貸金業法が改正される前は、銀行や金融業者独自の基準で融資限度額が決められていて、個人ごとの融資総額にも規制がありませんでした。

金利の上限も年29.2%と高く設定されていた実態もあり、月々の返済ができなくなり自己破産を申し立てるケースや、保険金での完済を目論んで自殺するケースが多く見られました。

自己破産をした債務者の家族が、債権者に代位弁済を強要される事例もあったようです。

貸金業法改正後もこれらの事例はゼロではなく、社会的にも問題視されています。

そのため、年収の3分の1を超える融資を受けた後で返済や日常生活に苦しむよりも、審査に落ちた方が健全な生活を保てるという見方もあります。

低年収・無職の方はお金を借りずに作るのがおすすめ

年収が低い人や無職の人は、お金を借りたとしても返済資金を確保することが難しいので、借金以外でお金を作る方法を考えるのが賢明です。

一つの例として、クラウドソーシングが考えられます。

即日で始められる上、最短1週間前後で働いた成果を現金化できるので、早急にお金が必要なケースにも対応できるでしょう。

得られた収入を雑収入として申告後、雑収入にかかる住民税を納付書(普通徴収)で支払えるので、副業が会社にバレるリスクも軽減できます。

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