消費者金融のCMには様々な規制がある!人気CMの裏側を解説

消費者金融のCM

テレビ視聴中に消費者金融のCMが放映されると、興味のない人は時に「鬱陶しい」と感じてしまうでしょう。

消費者金融を含む貸金業全般は、過去から将来に渡って節度ある社会人のニーズを満たすものです。

一方で、キャッシング経験がなくサービス内容に抵抗感のある人にとっては「CMによって無計画な債務者が増えてしまうのではないか」という懸念が拭いきれません。

実のところ、消費者金融のCMには全盛期からの長い規制の歴史があります。今後放映されたときに興味深く内容を見ることのできる、消費者金融の広告規制の内容について紹介します。

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消費者金融の広告には規制がある

消費者金融のCMは、加盟する日本貸金業協会から「広告および勧誘に関する規則」で表現方法の自主規制が呼びかけられています。

各社に対し広告審査が行われる点を考慮すると、同協会の呼びかけ=事実上の表現自粛義務だと言えるでしょう。

【消費者金融の広告】規制・審査があるもの
 テレビCM
 新聞および雑誌広告
 電話帳広告(インターネット広告含む)

→日本貸金業協会・発表媒体運営者による“二重審査体制”をクリアしなければ、以下各媒体を通じた広告発表はできません。

参考:「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」第43条

実際に審査に通過できなかった広告複数あり、有名芸能人を起用したのにお蔵入りしてしまった事例も少なくありません。

頻繁に目にするように思える消費者金融のテレビCMは、厳格にふるいにかけられて“健全だ”と判断されたものだけなのです。

消費者金融のCM規制が導入された背景

消費者金融の広告に対して現在のような規制が始まったのは、2006年の貸金業法改正がきっかけでした。

改正内容には広告表現を巡る条文追加も含まれており、日本貸金業協会によるルール作りも左記法に基づくものです。

【参考】貸金業法改正後に盛り込まれた広告規制の条文

 第15条本文(貸付条件の広告等)
貸金業者は、貸付けの条件について広告をするとき、又は貸付けの契約の締結について勧誘をする場合において貸付けの条件を表示し(中略)又は説明しなければならない。

 第16条本文(誇大広告の禁止等)
貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告又は勧誘をするときは、貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならない。

広告規制の背景にある“サラ金問題”とは

2006年貸金業法改正とこれに続く日本貸金業協会のルール制定は、90年代~00年代に及ぶ“サラ金問題”を背景としています。

バブル崩壊後の90年代から消費者金融(当時の通称は“サラ金“)が急成長し、深夜帯に限られていたCMが昼間放映を解禁されました。

これをきっかけに利用者が集まる一方で、2000年代までの約10年間に「多重債務者の増加」「不当な高金利契約の蔓延」などの問題が表面化するようになったのです。

【参考】“サラ金問題”の概要

 自動契約機の導入(1993年)
→バブル崩壊のあおりを受けて消費者金融が急成長し、人目を気にする人でも気軽に借りられるシステムとして人気を集めていました。

 景観の破壊(80年代~90年代)
→消費者金融が町中に大きな看板をいくつも出すことで、都市独特の景観が破壊されていると指摘されていました。

 グレーゾーン金利の出現(2000年~2010年)
→2010年の法改正以前、貸金業者として一定条件をクリアした消費者金融には、本来守るべき利息制限法ではなく出資法制限に基づく上限金利(年利29.2%)が認められていました。不当に払いすぎた利息を巡っては、2020年現在も「過払い金問題」として尾を引いています。

 自殺者の急増
→1997年から自殺者が急増し始め、1998年には人口10万人あたりの自殺者が18.8人から25.4人へと伸びました。金融庁・警察庁の調査によると、自殺者のうち25%程度が貸金業利用者だったとされています。

問題はこれだけに留まりません。

2006年~2007年には大手消費者金融の過激な取り立て行為がメディアで報じられるようになり、行政処分を受ける会社も続出していました。

状況から見て、消費者金融側に多大な問題責任があるものの、利用者側も安易に借り入れしないよう冷静に判断する責任を負っています。

こうした観点から業界健全化の一環として行われたのが広告規制です。

消費者金融のCM規制のポイント

はじめに紹介した日本貸金業協会の規制では、消費者金融の広告に次の4点への配慮を要求しています。

【消費者金融に対する広告規制の方針】
① 安易な借入れを誘引する設定及び表現を避けること
② 児童及び青少年への配慮をすること
③ 貸付条件を明示すること
④ 啓発的な要素を十分に取り入れたものにすること

引用:「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」第42条

具体的にどのような規制が行われているのか、①~④を順に紹介します。

①安易な借入れを誘わない

自粛が求められている「安易な借入を誘うような表現」とは、以下のようなものを指します。

 下限金利の強調

審査状況に応じてより高い金利が設定されるにもかかわらず、低金利を強調して「利息が安い」「返済負担が低い」といった点をアピールする表現です。

本来不必要な金額を安易に借りてしまう恐れがあるため、規制対象となっています。

 借入プロセスの簡単さの強調

「審査が甘い」「とにかく早く借りられる」など、キャッシング利用開始の間口を広げていることをアピールする表現です。
返済能力の低い人(学生や年金生活者)扇動する恐れがあることから、規制対象となっています。

 年金または公的援助を受けている人への勧誘

「年金だけでは生活費が足りないですよね」といった、収入を行政に頼っている人を暗に勧誘するような表現です。

本来、年金や福祉制度は債務弁済に充てるべきものではありません。消費者金融が勧誘する対象としては不適切であるため、規制されています。

 返済プランをあいまいにするような表現

「短期間で返済できる」等、契約内容によって返済プランが異なるにも関わらず、完済までの計画をあいまいにするような表現です。

こうした表現は、ただ自粛が求められるに留まりません。公式サイトアドレスの掲載・サイトへの返済シミュレーションの設置により、利用者が自分で返済プランを確かめられるよう導線を組むことが義務付けられています。

上記いずれもサラ金問題全盛期までは頻繁に見られた表現ですが、現在も当時と同じような広告表現を行うと、放映前にストップがかかってしまいます。

そこで消費者金融各社では、実際に役者がキャッシング利用するようなシーンすら避け、お金が必要になったことを暗喩するようなストーリーに留めるよう、CM作りの努力が行われています。

②児童・青少年への配慮

サービスがあくまでも社会人向けのものであることから、児童がCMを目にする機会を減らすよう、以下のような規制が設けられています。

【CM放映タイミングに関する規制】
 CMの放送時間帯…7時~9時・17時~21時の放映禁止
 放映本数…月間100本以内に制限(22時~24時放映分は上限50本)
 番組規制…全国の放送局が選定する「青少年に見てもらいたい番組」での放映禁止

③貸付条件・会社情報の表示

ヤミ金被害の防止・企業としての責任感表明の意図から、貸付条件と会社情報の表示が義務付けられています。

【CMに表示が義務付けられている情報】
 貸付条件
…貸付利率・遅延損害金・年齢制限・その他事項
 会社情報
…商号・会社名称または代表者氏名・貸金業登録番号

貸付条件にはさらに「表示時間2.8秒以上」「表示サイズ8級~32級以上」と細かく規制があり、放映を見る人の目に留まりやすいよう工夫が行われています。

会社情報については改正貸金業法でも表示義務があり、虚偽表示や表示漏れがあると処罰される可能性があります。

④啓発文言の挿入

放映でよく目にする「ご利用は計画的に」等の文言は、日本貸金業協会の設けたルールに沿ったものです。

より具体的に、以下の表示を網羅するよう求められています。

 契約内容の確認を促す文言
…「契約内容をご確認ください」等
 使いすぎ・借りすぎへの注意喚起
…「無理のない返済計画を」等
 貸付条件表示とは別個に表示すること
…利用者の注意を引く情報と分けて表示し、目に留まりやすくする工夫
 書体・文字サイズの制限
…ゴシック体・18級以上

これ以外にも「ギャンブル系番組での放映禁止」もルールに盛り込まれており、放送を見る人を計画的利用に踏みとどまらせる多彩な工夫が見られます。

他にもある「CM放送のルール」

紹介した規制以外にも、消費者金融のCM放送には多くのルール適用が行われています。
その一部をここで紹介してみましょう。

電話番号表示に「申込み」という表現を使わない

CMを見た人に検討する心理的猶予を与えるため、CM内で「申込み」という表現を使うことは避けられています。

特に、電話番号と一緒に文言を表示するのは、貸金業協会が明確に規制しています。

意見交換義務・制作資料の保管義務

消費者金融各社に対しては、すでに放映済みのCMに対してメディア各社と意見交換して「より適正な広告はどのようなものか」を探るよう求められています。

CMの制作時資料も保管を徹底するよう要請されており、協会や第三者から説明を求められたときにきちんと応じられるようにすべきとされています。

近年はむしろ銀行系カードローンのCMが問題視されている

先の“サラ金問題”によるこうした規制の一方で、消費者金融とほとんど同じ貸付条件で運営する銀行系カードローンのCMに対しては、まったくルール作りが進んでいません。

そこで「月に100本を超える放映」「安易な借入を誘致するような表現」など、従来の消費者金融にあった問題が銀行系カードローンCMに見られるという指摘があります。

参考:朝日新聞2017年5月13日報道

銀行系のキャッシング商品を巡っては、2015年頃からの自己破産者の急増・総量規制※の不徹底など、かつてのサラ金問題のような事実も指摘されています。

※総量規制とは…
消費者金融等の貸金業登録者に課せられた融資制限です。利用限度額の上限=利用者の年収の1/3とすることが義務付けられています。

今後はますますカードローン・キャッシング業界への規制が強まり、一見クリーンなイメージに見える銀行系の個人向け融資CMも数少なくなっていくことでしょう。

明るいCMに惑わされず「慎重な判断」を

消費者金融のCMには、表現・表示文言・放映タイミングなど様々な規制が行われています。

こうして広告が健全化されたのは、実際に借りすぎた人の経験や、金融庁と貸金業協会の長い努力のたまものだと言えるでしょう。

企業や国の努力には限界があります。結果的にカードローン・キャッシングと賢く付き合えるかどうかは、利用する人に委ねられています。

CMの明るさや借りやすいイメージに惑わされ、安易に利用してしまう人はいまだに存在すると言わざるを得ません。

本当に借入が必要かどうかは、実際に公式サイトへアクセスして詳細を確認し、計画的に利用できるかどうか見極めてから判断するようにしましょう。

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